発達障害(自閉症スペクトラム)をお持ちの方から、「障害年金をもらえるのか知りたい」というご相談をいただくことがあります。
この記事では、自閉症スペクトラム障害で障害年金を受け取るための主な条件や注意点を、社会保険労務士がわかりやすく解説します。
ASDでも受給は可能
自閉症スペクトラム障害でも、次の3条件を満たせば障害年金の対象になります。
- 初診日に国民年金または厚生年金に加入していること
- 保険料納付要件(直近1年に未納がない等)を満たしていること
- 社会的適応・対人関係・就労面で著しい制限があることが確認できること
「生活上の困難さ」が明確に伝わることが必要です。
ASDは精神の障害に分類
障害年金では、自閉症スペクトラム障害(ASD)は「精神の障害」として扱われます。
審査の根拠となるのは、まず厚生労働省の『国民年金・厚生年金保険 障害認定基準』です。
ここで「精神の障害」は、症状によって日常生活や社会生活にどの程度の制限があるかをもとに等級を判断すると定められています。
さらに、運用上の補助資料として『精神の障害に係る等級判定ガイドライン』が用いられています。
このガイドラインは、「日常生活能力の判定」「日常生活能力の程度」などの項目をもとに、医師が診断書に記載した情報から、審査側が総合的に等級を判断する枠組みを示すものです。
自閉症スペクトラム障害の場合、知的能力が保たれていても、対人関係・意思疎通・社会適応の困難さが日常生活に及ぼす影響が大きいことがあります。
しかし、評価の基準は「行動の結果」に依存しているため、表面的な生活動作だけでは実態が正確に反映されにくいという難しさがあります。
ASDは「社会的適応の困難」を診断書に記載してもらうことがポイント
ASDの障害年金請求で最も難しいのは、診断書で日常生活の支障を的確に表現することです。
医師が「能力が高い」「話が通じる」と判断してしまうと、実際には人間関係のトラブルや職場適応の困難があるにもかかわらず、軽く評価されるケースが少なくありません。
「一人で外出できる」「家事はこなせる」といった断片的な記載ではなく、支援がなければ成り立たない具体的な場面を記載してもらうことが重要です。
まとめ:ASDは専門家の伴走で受給可能性を広げる
自閉症スペクトラム障害は、知的障害の有無や生活支援の内容によって認定結果が大きく異なります。
実態に即した診断書作成や初診日の確認など、丁寧な準備が受給の鍵となります。
障害年金に詳しい専門家へ早めに相談することをおすすめします。
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